2009年6月20日土曜日

外国人、そして平均賃金

ある日の某N経済新聞(まぁ、つまり日経なのですが)の朝刊に
外国人労働者数の数と地域全体の平均賃金には
相関関係があるというコラム&データが載ってました。

曰く、外国人労働者数が多いと、その地域の平均賃金が高いそうです。
つまり、外国人を積極的に労働者として招くことによって
外国人による労働力と消費力の供給が増し、地域の活性が進み、
平均賃金が高くなり、さらに地域の活性が進むという図式です。
(細かい個所はうろ覚えなので、ひょっとするとマイナーに違うかも・・・)

さらに、議論は続きます。
この図式によれば外国人が地域の平均賃金を高める因果関係があるのだ!!
さぁ、日本国よ、移民労働者を招こう!!
らしいです。



えっ!!!
なんて素敵な図式(はぁと)&なんて素敵な論理展開!!
僕みたいな外国人(太平洋某小国家出身)には喜ばしい社会理論です。
「外国人福の神理論」と名付けます。


・・・パオロ=マッツァリーノ氏が日頃指摘されている
「統計漫談」がリアルタイムで拝読できました。

まず、そもそも
1)相関関係と因果関係って別モノだよ(涙)
だって、体力と年齢にはかなり高い相関関係(この場合は負の関係)があると予測されます。
30歳くらいと体力って下がるから、年齢によってある程度体力の度合いって測れますね。
きっと、30歳くらいなら100M走ってもこむら返り起こさないだろうけど、
100歳の人にそんな事課そうものならあの世行きです。
つまり、体力が下がると年齢が上がるのだ!!
・・・違いますよね。年齢が上がると体力が下がるのです。
年齢が体力の低下に影響を与えると考える方が自然です。
言いたいのはですね、相関があるからって因果とは限らないんです。
「外国人と賃金」だって、賃金が高いところに外国人が集中して住む可能性があります。
賃金が高い仕事が多い場所→外国人には魅力的な場所→外国人殺到→外国人率上昇
てな図式もあるわけです。(てゆーか、この図式の方がもっともらしい気が・・・)

2)擬似相関の可能性
ある事象Aと別の事象Bが同時に伸びる(つまり見た目的には相関関係)があったとしても、
ひょっとしたらさらに別の事象Cが相関関係に絡んでいる可能性があります。
例えば、見た目的にはビールの売り上げと海外旅行に行く人の数には相関関係があります。
試しにビールの売り上げが最も高い月と低い月を見てみてください。
海外旅行者数と一致しています(どちらも最高が8月、最低が2月)。
でも、これって「シーズン」が絡んでるんです。
つまり、たまたまなんですけど日本では最もビールの売れる8月(暑いから)にお盆や長期休暇があって、みんな海外に行くだけなんです。
ビールの売り上げが増すと同時に海外旅行者が増えるのは偶然であって、
それには「シーズン」っていう別の変数があります。
ビールのおいしいシーズン→暑い時(もっというと暑い&雨降らない→8月→ビール売れる
海外旅行なシーズン→長期休暇がある→8月→海外旅行に行く
見た目的にはビールの売り上げと海外旅行者数には何らかの関係があったとしても、
統計的には相関関係はないと・・・。
「外国人福の神理論」も、擬似相関の可能性も十分にあるわけなんです。
その可能性を排除しないうちに因果関係に結びつけるとは、
おおっと、ヤバさ100倍だぜ。

新聞の統計の使い方には気をつけて読みましょう、というお話でした。

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