2009年7月11日土曜日

文系とか理系とか

ほんとはこの二分法ってどうでもいいんですけどね。
でもまぁ、これから受験控えてる高校生や就職活動で動いている大学生には重要な区分ですね。
前者の方々は受験科目が決まるし、後者の方々には面接で「文系っぽいこと」、「理系っぽいこと」を話さないといけないし。
理系なら面接で「いやー、ブルバギ原論なんて所詮ユークリッド空間Rnの焼き直しっすよ」
とか言わないといけないし。
・・・・・・そんなわけないか。

教育者(のはしくれ)としては、高校生たちが早い時期から文系・理系に分かれてしまって、
一度決断しようものなら、二度と違う分野の勉強をしないのには危惧を感じます。
せめて、二年の秋までは文系・理系のどちらも勉強して欲しいなあと思うのですが。
理系的思考(って言葉も本来は無意味ですが)の出来ない文系、
文系的思考(同じくこの言葉も無意味です)の出来ない理系、
どちらも役立たずと切られてしまっても仕方ないし。

話はそれますが、巷でよく言われている理系的・文系的思考ってまとめると
理系的=客観的事実を基に議論を進める
文系的=主観的事実を基に議論を進める
ってところでしょうか。これは社会人であれば二つとも身につけてて当然の素質ですね。
もっと話はそれますが、高校生の時の勉強は、特に数学の場合「暗記した公式をあてはめるだけの単なる機械的作業だ!!」
なんて批判もありますが、日本の数学のカリキュラムってよくできてますよ!
大学で数学を勉強する上で、どうしても前提として必要なものを厳選して公式学習としてカリキュラム組んでます。3年間、暗記と当てはめに鍛えられた素養で、すぐに大学レベルの数学が出来るようになってます。

と、まぁ数学科のヨイショをしたところで、本題に(前置き長っ!!)。

先日、なにか文系が読める理系的思考のための本でおすすめはないか?
と尋ねられたので、紹介も兼ねて載せておきます。
1)容易に安価で手に入る本、2)簡単に読める本がいいと言われたのでそれに合いそうなものを。

1)デカルト著、谷川多佳子訳 『方法序説』 岩波文庫
これは名著の中の名著です。もはや詳しく言うまでもないでしょうね。
哲学書ってなんか難しそう・・・って思ったら大間違い。とても平易で読みやすいです。
内容は、省察(デカルトの場合、何かについて「客観的」に考えること)をどのように行うか?そのためにはどんな方法を使えばいいか?という問題提起とそれに対するデカルト流の回答です。
要約代わりにネタをばらすと、
「ほんの少しでも疑いをかけうるものは全部、絶対的に誤りとして廃棄すべきであり、その後で、わたしの信念のなかにまったく疑いえない何かが残るかどうかをみきわめねばならない」(p.45)
「わたしたちがきわめて明晰かつ判明に捉えることはすべて真である、これを一般的な規則としてよい、ただし、わたしたちが判明に捉えるものが何かを見きわめるのには、いくらかの困難がある」(p.48)
安いし、分量も厚くはないのでまだ未読の場合には第一にお勧めします。

2)中谷宇吉郎 『雪』 岩波文庫
雪のメカニズム解明に一生を費やした中谷先生のエッセイです。
科学研究で必要不可欠な試行錯誤の過程、仮説設計の手法、結論の導き方が人工雪生成実験の描写を通じて明らかにされています。

3)松井孝典、南伸坊著 『「科学的」って何だ!』 ちくまプリマー新書
松井先生に南さんが「科学的と非科学的の違いって何?」と質問して、それに答える構成のいわゆる対談本です。一般向けに書こうとしてちょっとチャカしすぎ(例えば無限の概念や反証主義とか)なのが玉にキズですが、とても面白いです。
サクッと「科学的に考えるってどういうこと?」を知りたい方はぜひ。

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